【作成中】オールディスクリートD級アンプ


ICを一切使わず、フルディスクリートでD級アンプを作りました。
ハーフブリッジ・ステレオモード、フルブリッジ・モノラルモード兼用で使え、トランジスタはステレオ合わせて43石使っています。
ディスクリートですから、アナログアンプの自作と同じように汎用の部品とユニバーサル基板を使って誰でも作ることができます。
43石オールディスクリートD級アンプ
市販オーディオはではバッテリ駆動のポータブルオーディオは言うまでもなく、据え置きオーディオも小型・省エネ化でD級アンプが増えてきました。
自作アンプの世界でもD級の作例は出てきますが、専用ICを使うか、OPアンプやTTLを用いたものが多数です。
D級アンプの魅力は低発熱でパワフルな低音が楽しめることですが、専用IC買ってハンダ付けするだけなんて市販アンプ買うのと変わらないです(笑)
そこで始めはOPアンプで組んでみましたが、そこまでできれば後は三角形の記号の中身を出すだけですからディスクリート化しない選択肢はありませんw。
アナログアンプと同じように、部品や定数を取り替えて音作りを楽しめるのが魅力です。
むしろチューニング箇所が沢山ありますから、アナログアンプより音作りを楽しめます。
写真の例では、昭和レトロなシルクハット型トランジスタ 2SA495 を隠し味として使っており、レトロラジオのようなちょっと硬めなサウンドを作っています。

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<ご注意>
・このサイトを参考に実験を行い、火災、感電等がおきましても筆者は一切責任を取ることはできません。
実験される場合は必ず自己責任でお願いいたします。
・回路の構成上、電源を短絡するモードの故障が存在します。ヒューズ取付や適切な電流制限付き電源の使用を推奨します。
・製作・調整にはオシロスコープが必要です。

1. 回路図

オールディスクリートD級アンプの回路図
複雑に見えますが、基礎的な回路の組み合わせです。

出力段はNchMOSFET同士のハーフブリッジ+二次LPF構成です。
ゲートドライバは 文献1 に載っていたブートストラップ式のディスクリートゲートドライバを定数変更して使っています。
ゲートドライバは5V動作させていますから、MOSFETはTTLレベル対応を謳った物を選択しています。

オペアンプ・コンパレータはスタンダードな差動対+エミッタ接地型を基本としています。
PWM用のコンパレータは、ゲートドライブ回路のレベル変換用エミッタ接地とコンパレータの増幅用エミッタ接地を兼用にして一体化させています。

エラーアンプはオペアンプ構成にしています。次段がコンパレータですから低出力インピーダンスにする必要はなく、出力段を省略して部品数を減らしています。
NFBは出力段からオーバーオールでDC帰還を掛けています。
ただし小信号部の電圧は5Vしかありませんから、0V~Vddがオペアンプ部の入力可能電圧範囲に収まるよう、分圧回路でレベル変換してNFBをかけています。

ディスクリートならではの楽しみとして、トランジスタを変えて音色の変化を楽しむというものがあります。
このアンプでは、アナログ動作しているオペアンプ部のトランジスタを変えると音色が変わります。
初段はNFBループの外に居ますから、初段を変えると音が明確に変わります。
初段を変えて味付けが強すぎる場合は、2段目を替えれば味付けがNFBで圧縮されますから、隠し味的になります。

PWMのキャリアは、ヒステリシスツキコンパレータと積分回路による弛張発振回路で疑似三角波を得ています。
RC積分回路に方形波を入力すれば出力は直線ではなく指数関数になりますが、範囲を絞って一部を直線近似して使っています。当然得られる波形は実際は丸まって三角波にはならず、疑似三角波となります。
オペアンプを2つ用いるタイプの三角波発振回路ならフィードバック付き積分回路で綺麗な三角波が得られますが、基板の面積が足りませんでした(^^;

キャリア周波数は残留ノイズ・周波数特性・消費電力のトレードオフになってきます。試聴と測定を繰り返して270kHz程度になりました。

入力の配線へ出力段側からPWMの高調波がRF(電波)として回り込み、発振したりノイズになったりします。
そこで、入力部にfc≒160kHzのLPFを付けて、入力配線に飛び込んだRFが増幅回路に入らないようにしています。

2. ブロック図表示

上記の回路図は複雑すぎて分かりづらいですが、ブロック図にすると以下のようにすっきりします。
D級アンプのブロック図

参考文献・サイト

1 太田 潤;D級/ディジタル・アンプの設計と政策
CQ出版社,2015年(オンデマンド版)
2 鈴木雅臣;定本トランジスタ回路の設計
CQ出版社,1991年