新方式!オルタネータ改造自己励磁式自転車発電

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0、はじめに
1、従来法の自転車発電とその問題点
2、内蔵レクチファイアによるシンプルな自励回路
3、単相倍電圧自己励磁回路
4、電子制御化した出力制御回路
5、ご利用について

0、はじめに

当方は、自転車のライト用ダイナモを使用してチャリに乗りながら電気を使う自転車発電を紹介しておりますが、オルタネータを使用してイベント・筋トレ用に家電製品を動作させるエアロバイク的使用法の自転車発電装置も製作しております。
ネットで数多くの製作例がありますが、このたび新しい回路方式により『オルタネータを改造し残留磁気により自己励磁することで初期励磁用のダイナモを廃止』することに成功しましたのでページを設けることとしました。 本内容が自転車発電機製作される方の一助となれば幸いです。

<ご注意>
このサイトを参考に改造を行い、発火事項とがおきましても筆者は一切責任を取ることはできません。必ず自己責任で実施してください。

※従来型の回路や台座の作り方については、オルタネータ自転車発電を発明された鈴木氏のページを参照ください。
自転車発電のページ (鈴木靖文 環境のページ内)

1、初期励磁用ダイナモの問題点

大学生1年時にサークルで取り組んだ自転車発電では、従来通りチャリのダイナモによる他励式で製作しました。しかし、「後輪に取り付けたダイナモに足が引っかかる」、「一般的にオルタネータよりもチャリのダイナモの方がなじみがある為、『ダイナモだけじゃ発電できないってどういうこと?』となり動作原理がわかりづらい装置となってしまう」という問題がありました。バッテリーを併用するタイプもありますが、お客様から見たら『なーんだ、バッテリー使ってるじゃん』ということになります。
時は流れ再びイベントで自転車発電をやる機会をいただき、どうしてもダイナモを取り去り自励化したかったわけです。

2、内蔵レクチファイアによるシンプルな自励回路

残留電圧を内蔵整流回路で整流するシンプルな回路です。損失が大きいため頑張って漕がないと起動しません。使用するオルタネータの径や接触状況にもよりますが、手元のワゴンR用オルタネータ+ママチャリでは、時速換算で30km/h程度必要でした。

シンプルな方法

オルタネータを回転させると、回転子に残っている残留磁気により固定子に残留電圧が生じます。残留磁気とは前回運転時の界磁により鉄心に磁気が残った状態で、原理としては小学生の頃に教室のクリップ入れに磁石を放り込んで大量に釣り上げ、磁石を取り除いた後に磁化されたクリップ同士がくっついている数を競ったのと同じになります。学術的な解説は電磁気の専門書をご覧ください。

この残留電圧がオルタネータ内部のレクチファイヤ(整流回路)での順方向電圧降下を上回れば直流として取り出せ、界磁コイル(回転子)を励磁してあげることができます。一度界磁コイルを励磁してあげれば出力電圧は上昇し、さらに励磁が強くなり・・・という正帰還動作でオルタネータが起動します。
しかし、実際のオルタネータでは残留電圧のみではレギュレータICが動作する電圧を供給することができず、界磁コイルと直列に挿入されている制御素子はOFFのままとなり、肝心の界磁コイルに電流を流すことができません。

そこで改造を加えてリレーを追加します。リレーのブレーク接点でレギュレータをバイパスしておけば、残留電圧は全て界磁コイルに流すことができるという作戦です。
オルタネータの回転数が上昇し、レギュレータICが動作する電圧まで出力が上昇した後にリレーが動作し、界磁制御をレギュレータに引き継ぎます。その後の動作はオルタネータ単品で動作させた場合と全く同様になり、定格出力まで立ち上がった(電圧確立)あとは体力が続く限り内蔵レギュレータにより出力が14V程度に維持されます。
なお上記の回路図ではリレーのメーク接点を生かし、オルタネータの起動が完了してから負荷をONする動作も同時に行っています。
リレーの動作点は使用するリレーとコイルに直列に入れる抵抗で定まり、コンデンサは閾値付近でリレーが暴れないための平滑用です。
リレーの動作点は漕ぎながら決めていきますが、基板取り付け型ミニリレーの場合は220Ω+470μF程度が最適と感じました。

ちなみにレギュレータをバイパスするための配線は、下図のようにブラシのネジにケーブルを取り付けて配線します。

端子

3、単相倍電圧自己励磁回路

残留電圧を倍電圧整流することで効率よく活用し、子供でも起動ができるように改良したバージョンです。時速換算で15km/h程度あれば起動します。

単相倍電圧自励回路

この回路では固定子の三相巻電にも配線を施します。「あれ?倍電圧整流なのにダイオードが1つ?」となると思いますが、内蔵レクチファイアのダイオードのうち1本を相手として使っています。

本回路の動作や内部の動作波形など詳細については文献「倍電圧整流を用いた同期発電機の新しい自己励磁法」,電気学会論文誌D(産業応用部門誌),Vol.136(2016),No.5,P375-376 をご覧ください。
※電気学会会員でない方の場合は、有料となります。

リレー周りの動作はシンプルな方法と同じですが、初期励磁切り替えリレーのメーク接点はGNDではなく倍電圧出力となる為、電圧確立後の負荷接続制御は別に設けたコイル定格24Vのリレーで行っています。励磁切り替えと負荷接続のポイントを別々に設定できるため、使用するオルタネータや体力に合わせて調整します。励磁切り替えリレーはレギュレータ破壊防止のため早め(出力10V程度)に切り替えるように設定し、負荷接続は突入電流に負けて停止しないよう、ある程度加速した14V程度まで出力が立ち上がってから(=自転車発電が加速してから)切り替えるようにします。
お子様向けに実施する場合は、負荷接続リレーにCR時定数を設けて接続を遅らせ、加速する時間を設けるのも良いでしょう。
突入電流に備えて回転数を上げておけば、車輪がフライホイールとして振る舞うため突入電流に対して電解コンデンサのように作用し足への負荷を低減し、また回転機のパワーは「トルク×回転数」で与えられるため高回転ならば突入電流で喰らう急ブレーキトルクも低回転に比べ小さくて済み、さらに元の回転数が高ければ急減速後も発電維持可能な回転数に収まる確率も高まります。

なお、下図のように2接点リレーを用いると初期励磁切り替えと負荷接続回路を一つのリレーにまとめられシンプルになりますが、励磁切り替えと同時に負荷が接続されるため、抵抗値の調整が難しくなります。回転数が遅いうちに切り替える、つまり車輪をフライホイールと見立てた時に蓄積されている運動エネルギーが小さいうちに負荷を接続すると、突入電流で発電機に大きな静止トルクがかかることで急減速し発電が停止してしまうことがあります。逆に切り替えポイントを高めに持っていくと、倍電圧整流によりレギュレータや負荷に過電圧がかかり、故障や発煙に至る可能性があります。

単相倍電圧自励回路用出力回路

4、電子制御化した出力制御回路

負荷への出力リレーを電子制御化した回路です。実際のイベント及び冒頭の動画は本回路で制御を行いました。

自転車発電出力制御回路回路

制御切り替えが「自動」の場合、電圧確率をコンパレータが検出すると直ちにONとなります。「手動」の場合は、電圧確立検出後に出力ボタンを押すまでリレーはONとなりません。
「手動」は突入電流が大きな負荷を接続した際、十分に自転車を加速させたうえで電源を入れるという操作が可能になります。

5、ご利用について

筋トレ等の個人利用や、実験教室等の非営利目的の利用であれば、自己責任の条件のもと本回路を製作、回路図の展示等も含め自由に行っていただいて構いません。
ただし、入場料を要するイベントや企業の広告ブース等の商用利用の場合は電気学会との絡みもありますためご連絡ください。

お問合せ:mailあっとmail.hmcircuit.jp

※フィルタではねられてしまうため、件名には「自転車発電」等のわかり易い単語を入れてください。
ご閲覧ありがとうございました 2017年4月15日 修正 追記 更新