その他 記事化していない回路・実験中など


実験だけで終えた回路、満足していない回路、記事化しない・できていない回路、途中で放置した回路を置いています。
動くかどうかは分かりません。

<ご注意>
このサイトを参考に実験を行い、火災、感電等がおきましても筆者は一切責任を取ることはできません。必ず自己責任で実施してください。

1. 自動音量調整回路(AGC)

AGC(オートゲインコントロール)回路を応用した自動音量調整回路です。
web会議・動画視聴に適します。
調整代を多くとるためにハイゲインのアンプを持たせています。
とにかく高速でアタック(音量を絞る)するように音量検出部回路を工夫しています。

※クリックするとフルサイズで覧いただけます
自動音量調整回路

2. 昭和サウンドアンプ

ドライバトランス付き NPN-NPNプッシュプル

昭和のカーステレオやステレオアンプで使われていた、2次側に2つの独立巻き線を持つドライバトランスを用いたNPN-NPNプッシュプル回路です。
ドライブトランス付きNPN-NPN SEPP昭和サウンドアンプ
各トランジスタのバイアスダイオードはそれぞれ出力トランジスタと熱結合が必要です。(すぐ熱暴走します・・・)

試しに組んでみたものの長時間聴きたいと思うような好みの音質ではなかったのと、バイアス周りの安定度に課題があり、放置しました。
FMラジオを聴くと、旧車のカーステレオみたいな音がします。

簡易化準コンプリメンタリ NPN-NPNプッシュプル

ハイパワーなPNPトランジスタがない時代、NPN同士のプッシュプルとして「準コンプリメンタリ」構成が用いられていました。
初段が差動増幅回路ではなくシングルエンドのトランジスタで、入力に対してはエミッタ接地、NFB信号に対してはベース接地として動作するのも昭和構成の特徴です。
簡易化準コンプリメンタリSEPP昭和サウンドアンプ
当時の回路に対する簡易化ポイントは下記です。

・プッシュ側:
ドライバ段のエミッタ負荷抵抗を外して単純なダーリントン接続にして、PNPトランジスタを使う場合と同じような回路にしています。
抵抗削減と消費電流削減です。ドライバ段のコレクタ電流が小さくなることで周波数特性が悪化するそうですが、聴感上の違いは分かりませんでした。

・プル側:
単純なインバーテッドダーリントン接続としています。
インバーテッドダーリントンとすることで抵抗減らせるだけでなく、一つのトランジスタとみなしてPNPトランジスタを使う場合と同じように考えればよく計算が楽です。
昭和構成は、プル側も出力トランジスタのエミッタに抵抗が入っており、熱暴走しそうになった時の電流帰還は出力トランジスタだけで掛かります。

バイアス回路は、当時は温度補償にサーミスタが用いられていましたがディスコンになっているため、平成式の半導体バイアス回路に置き換えています。
このアンプはヘッドホンやミニスピーカー用に作ったため、放熱器なし・熱結合なしで気温に対してのみの温度補償としています。

こだわりポイントとして、小信号トランジスタを当時もののシルクハット型パッケージの2SC372/2SC495ペアとして当時の音に近づけています。

ドライバトランスレス B級DEPP

昭和のラジカセやラジオでスタンダートだった出力トランス式のDEPP(Double Ended Push-Pull)をドラバトランスレス化したものです。
低域特性が悪いエミッタ接地型のトランス結合ドライバ段をなくして、より低音を楽しめることを狙っています。
真空管のB級プッシュプルをトランジスタに置き換えたような回路構成としています。

サイン波入力で周波数を上げていくと10kHz台で消費電流が跳ね上がって出力Trが燃える問題が解決せず放置しています。
位相を見ていくと発振ではなさそうで、どこかの容量の放電が追い付かずA級になっていそうですが、途中で飽きました。
普通に音楽を聴く分には使えます。70年代の大型ラジカセのようなブーミーな低音が楽しめます。
ドライバトランスレス B級DEPP昭和サウンドアンプ
左上に、昭和の教科書に載っている「見慣れた回路」を示します。
センタータップ付きのドライバトランスの3つの機能を、トランジスタに置き換えています。

・逆位相の信号を作る:
C-E分割回路に置き換えています。(真空管のP-K分割回路のトランジスタ版)
DEPPでは、プッシュ・プルそれぞれのトランジスタに逆位相の信号を入れてあげる必要があります。
「見慣れた回路」ではセンタータップ付きドラバトランスが用いています。

・バイアスをかける:
逆位相の信号に対してバイアスをかける必要があり、ドライバトランス付きのDEPPでは、センタータップにバイアスをかけ、巻き線で信号を加算することで「バイアス+音声信号」を作っています。
本回路では、シャントレギュレータ型の定電圧回路でバイアスを作り、単純に抵抗1本でバイアスをかけています。
バイアス抵抗は十分大きくないと前段のC-E分割回路のコレクタ側への影響が無視できなくなってきますから、次項のダーリントン接続によるハイインピーダンス化で抵抗値の大きなバイアス抵抗を使えるようにしています。
音声信号はコンデンサカップリングで足しています。C-E分割のコレクタ電圧は4V程度となり、電源投入時にカップリングコンデンサの充電電流で出力トランジスタがONになります。
無駄に容量を大きくすると充電に時間がかかり、出力トランスに大きな直流電流が長時間流れてダメージを与えます。

・インピーダンス変換
出力トランジスタをダーリントン接続にして、エミッタフォロワ型のドライバ段に置き換えています。
出力段の入力インピーダンスを十分に高くして、C-E分割回路のコレクタ側への影響を無視できる程度にしています。
トランジスタが高かった昭和のラジオやラジカセでは出力トランジスタは1段が基本で、ベースの入力インピーダンスは数百Ωになるためドライバトランスでインピーダンス変換されていました。
ドライバトランスは1次側がハイインピーダンスになっており、前段はドライバ段兼ゲイン段としてトランス負荷のエミッタ接地になっている回路でした。

ドライバトランスレス B級DEPP 差動タイプ

差動増幅回路を使ったドライバトランスレスDEPPアンプも作ってみました。
ドライバトランスレスDEPP B級プッシュプル昭和サウンドアンプ 差動増幅回路を使用
こちらも真空管の差動増幅を使ったB級プッシュプル回路をトランジスタに置き換えたような構成です。
出力段はC-R分割タイプと同じですが、気持ち良い低音が鳴るので、電源電圧を上げて大音量の低音を出せるようにしました。
B級アンプですから、電源にソーラーパネルを使うと音量に合わせて電源電圧がI-V特性カーブ上を暴れまわるため、小信号部は定電圧化しています。

3. 普通のSEPPアンプ

スピーカー・イヤホン兼用アンプ

差動増幅→エミッタ接地→ダーリントンプッシュプルという、いたって普通の構成のオーディオアンプです。
パワーOPアンプ型スピーカー・イヤホン兼用アンプ
ディスクリートでOPアンプを作ってみたくて、イヤホン・スピーカー兼用のパワーOPアンプとして作ったアンプです。
ボルテージフォロワとしても使えるように位相補償をたっぷりかけていますが、スルーレート不足で音量を上げると自動でハイカットが掛かります(笑)

こだわりポイントとして、ICアンプのように無調整で広い電源電圧範囲で使えるようにしています。
定電流回路で作った定電流を各部にカレントミラーでコピーする構成として電流を安定化させています。

ドライバ段のコレクタ負荷も抵抗負荷ではなく定電流負荷としています。
抵抗負荷にすると電源電圧を上げるとコレクタ電流が増え、出力トランジスタのバイアス電流もつられて上がってしまい、20V近い電源電圧範囲を無調整でとはいかないです。
ドライバ段が能動負荷となりますから、ブートストラップ回路無しでプッシュ側の振幅も取れます。
パワーは取れないですが、イヤホンなら3Vでも使えないことはないです。
低い電源電圧で使う際も大振幅が取れるよう、出力段はインバーテッドダーリントンとして、普通のダーリントンを使う場合に対して出力振幅を約1.2V多く取れるようにしています。

+in側の入力バイアスはVccを分圧して作っており、-in側へは10kΩを通してDC帰還がかかっていますから、出力は電源電圧が変わっても常にVccの約半分の電圧を中心に振れるようになっています。

4. ソーラー充電コントローラ

アイドリング禁止のオートキャンプ場などオルタネータを回せない場所でアクセサリー電源を使いたい時、ダッシュボードにソーラーパネルを置いてカーバッテリーを補充電するためのコントローラです。
ソーラー充電コントローラ
満充電設定電圧(例:14.5V)までは効率が悪いシリーズレギュレータをMOS-FETでバイパスしてソーラーパネル直結相当で充電(バルク充電)し、満充電になったら定電圧充電(フロート充電)に切り替えます。
バッテリー空の持ち出しが増えて電圧が下がってきたら再度フル充電に切り替わります。
逆流防止ダイオードが付いていますから夜間でもつなぎっぱなしでOKです。
「最初からP-MOSFETでレギュレータ組めば充電完了までは直結相当になるのでは? せっかくなら高効率なスイッチングにしたい」となって放置しました。