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メインページに掲載した回路図以外で製作する場合

 ありえそうな変更方法をあげてみました。
 メインページで紹介したとおり、製作したアンプは依頼を受けて製作したものなので、実物は手元にありません。そのため、ここで紹介している測定値等は、実物ではなく、試作時などにブレッドボード上に回路図の回路を組み立てて実験を行なったものであるということを先にお断りしておきます。

小さいディスプレーで作ったので、大型ディスプレーで表示すると余白だらけの読みづらいページとなってしまい、申し訳ありません。


ここで紹介する回路を使用して、事故等が発生しても、私は一切責任を取ることはできません。必ず自己責任でお願いします。

<目次>

・・・・・屋上アンプ回路・・・・・
(1)ゲインを変更する  (2)トランジスタについて  (3)周波数特性を変更する

・・・・・屋上アンプ回路・・・・・
(1)電源にACアダプタを使用する  (2)モニター回路は不要

・・・・・その他・・・・・
(1)一体型にする  (2)自動電源管理機能を追加する←準備中  (3)ソーラー発電を利用する

・・・・・屋上アンプ回路・・・・・

屋上アンプオリジナル回路図
屋上アンプオリジナル電源回路図

 屋上アンプ回路の電源には、7805などの定電圧電源回路やNi-MH電池などから、5V前後を給電してください。高くても漏電の危険や抵抗等から発生するノイズが増し、低くても大振幅信号を増幅できません。
以降の説明では、電源電圧は5Vであるものとします。


(1)ゲインを変更する

 紹介した回路は、静岡県西部某所から、山陰沖で発生するスプライト等の電磁波を観測するように製作したため、かなり高ゲインとなっています。そのため、近距離で雷等を観測する場合は、ゲインが高すぎることが考えられます。
 また、さらに遠距離の観測をする場合、さらに高ゲインにしたいことも考えられます。
 ※ゲインが低すぎると、VLF信号を記録できません。また、ゲインを上げすぎると、ノイズが増加し、動作も不安定になります。適切なゲインを設定するようにしてください。

(A)ゲインを下げる

 ゲインの下げ方は、(ア)ループアンテナの巻き数を減らしたり、直径を小さくしたりして、アンテナゲインを下げることがまず思いつきます。次に(イ)アンプのゲインを下げることもできます。(ア)は説明する必要はないので、(イ)について説明します。

 屋上アンプ回路は、3つの電圧増幅回路と、1つの電流増幅回路で構成されています。電圧増幅部を変更すると、ゲインが変わります。エミッタ設置増幅回路のゲインは、「増幅率=コレクタ抵抗÷エミッタ抵抗」ですが、コレクタ抵抗やエミッタ抵抗を変更すると、直流電流や直流電位関係もずれてしまうので、簡単にゲインを下げるには電圧増幅回路を減らせばよいです。例えば、近距離観測用の最もゲインを下げた回路(下表のレベル1)は以下の回路になります。初段と出力段のみです。

最小ゲイン回路例

ゲインとの対応表を載せておきます。コレクタ抵抗別に、接続個数を表しています。
ゲイン電圧増幅回路を組み合わせる数
初段10kΩの回路4.7kΩの回路
レベル1(最小)
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6

 オリジナルの回路には、初段以外に、コレクタ抵抗10kΩの回路とコレクタ抵抗4.7kΩの回路がそれぞれ1つずつ組み合わせてあるので、レベル5となります。
 ちょっとわかりにくい書き方になってしまったので、参考のために下にレベル2の回路例を示しておきます。
レベル2

表の中に適切なゲインがない場合は、電圧増幅回路を減らした後、「(B)ゲインを上げる」を参考に調整してください。

 抵抗値変更でゲインを下げる場合は、変更後に「(2)トランジスタについて」の後半を参考にして直流電位を合わせてください。直流電位が不適切な場合、ノイズやクリッピングによる波形のひずみ等のトラブルが発生することがあります。

(B)ゲインを上げる

 先に断っておきますが、アンテナ側・アンプ側・記録側等いかなる方法でも、ゲインをあげた場合は十分なノイズ対策や発振対策が要求されます
 感度が足らないときは、アンプのゲインを上げる必要がありますが、ゲインを上げるとノイズ等も大きくなり、安定度も悪くなることがありますので、まずはアンテナ側で調整しましょう。設置位置や角度、巻き数やループの直径などを工夫してみるとよいです。それでもだめなときは、アンプのゲインを上げます。
 アンプのゲインを下げるときは電圧増幅段を減らしましたが、上げるときは電圧増幅段を増やすことはやめたほうがいいです。試作段階の時に、試しにブレッドボード上で初段以外に3段電圧増幅してみたところ、低周波発振回路と化してしまいました。そのため、エミッタ設置増幅回路を増やすのではなく、「エミッタバイパスコンデンサ」と呼ばれるコンデンサを挿入して回路のゲインを上げます。こちらの方法は、オリジナル回路で2段目のゲインを最大にし、3段目はそのまま という回路を組んでも発振しませんでした。3段目まで最大にしたら、アンテナ線の位置を少し動かすだけで発振が始まったり止まったりと、きわめて不安定な状態でしたが、あくまでブレッドボード上という不安定な状況ですので、基板に組んだ場合はどうなるかわかりません。

 具体的な変更点を以下に示します。以下の回路図の赤い部分を追加します。このことにより、交流から見るとエミッタ抵抗が減ったことと同じ状態となり、
「増幅度=コレクタ抵抗÷エミッタ抵抗と赤い抵抗の合成抵抗」となります。ただし、ゲインは有限値です。赤い抵抗を0Ωとしたところで、使用するトランジスタのhfeより大きな増幅度は得られません。そのため、増幅度がトランジスタのhfeを超えないように赤い抵抗を設定しないと、hfeのバラつきの影響を受けて、東西と南北でゲインが変わってしまい、正しい観測結果が得られなくなりますのでご注意ください。
ちなみに、赤い抵抗を可変抵抗器にすると、ゲインの調節が可能になります。

ゲインアップ回路図


(2)トランジスタについて

 出来るだけ2SC1815を使ってください。GRランク、Yランクともに操作確認済みです。オリジナル回路に使用した、東芝製汎用小信号用トランジスタ2SC1815は、置いてないパーツショップはないのでは?というくらい電子工作の世界では有名なトランジスタですが、入手できないときは、80~90年代東芝製アナログテレビを解体するとガラガラ出てくることがあります。(2000年代だと、機種によってはチップ部品とかが使われていて、思うようにリユーズ電子パーツが手に入らず、残念…ってことになります…)地デジ化の中、東芝製アナログテレビを捨てる人が知り合いに一人ぐらいはいるでしょう…。
 ちなみに私は、田舎に住んでいるので不法投棄が多く、不法投棄テレビからパーツ回収をしてきます。この方法…基板ごと拾ってくるので、高価なはずの電子パーツが、無料で一瞬して大量に手に入ります。ただし、道路や川などの公有地の場合はドライバーもってGOでいいですが、私有地に捨ててある場合は地主の許可を取らないと不法侵入になりますので十分に気をつけましょう。(大抵は草原とかで見分けがつかないので、地図等で確認する必要があります。)
 一例として、東芝のBS・CS付きのワイドバズーカのテレビを解体すると良いでしょう。不法投棄してあったんですが、2SC1815は沢山付いています。室内ボックス背面の屋上へ接続する端子に使えそうな端子も、背面のBS・CS切換のところに付いています。2SC1815、一部の抵抗、7809、7805、コイル、電源整流用ダイオード、電解コンデンサー、電源スイッチ、基板取り付け型ヒューズホルダが揃います。買うのは、ユニバーサル基板、トランス、小容量コンデンサ、ケース、ヒューズ、1MΩだけですみますから、かなりコストダウンです。VLFアンプ以外ではまず、音を売りにしたテレビだけあって、十分にJAZZやボーカルを楽しめる良質なスピーカーが付いています。(バズーカーウーハーと呼ばれるサブウーハーは、ウレタンエッジがボロボロで使えませんでした。)6W3回路入りのオーディオアンプや、クワッドオペアンプ、アナログスイッチIC、ヒートシンクなども付いていて最高です(笑)。

 だいぶ脱線してすみません…。どうしてもトランジスタが入手できず、他のトランジスタを使用する場合、やたら差し替えればよいわけではなく、注意点があります。まず、絶対最大定格ですが、電源電圧が低く、消費電力も小さいので、相当小型なものでない限り、まず大丈夫でしょう。次に問題になるのは、hfe(直流電流増幅率)です。とんでもなくhfeが大きいトランジスタもあり、見た目では区別が付かないので注意が必要です。回路を簡易化するために電圧増幅段はバイアス回路を簡略化したため、hfeの影響をもろに受けます。出力段は、バイアス回路をきちんと組んであるので、大丈夫です。
 電圧増幅段は、コレクタ電圧が2.5V前後となるようにバイアスを調整する必要があります。コレクタ電位が極端に高かったり低かったりすると、波形がつぶれたり(クリッピング)、温度安定度が悪くなったりと、いろいろ問題があります。
 出力段は、hfeが50以上の通常のトランジスタならば、動作します。

トランジスタ変更

 上図の赤い抵抗を、個別に設定します。まずそのまま作ってみて、コレクタ電圧が高すぎるときは赤い抵抗を小さくし、コレクタ電位が低すぎるときは赤い抵抗を大きくします。ですが、赤い抵抗をとんでもなく大きくしたり(数十MΩなど)、とんでもなく小さくしたり(数Ωなど)すると、正常に動作しなかったり、部品が壊れたりすることがあるので、範囲は100kΩ~1.5MΩ程度にしておき、それでだめならば、他のトランジスタを試しましょう。hfe100~300程度のものならば、使えるかと思います。
 電圧の測定には必ず、デジタルテスターやオシロスコープなどの、入力インピーダンスの大きな測定器を使用してください。アナログテスターなどの低インピーダンスの電圧計を接続すると、その影響で電位がずれ、正しい電圧が測定できません


(3)周波数特性を変更する

 実際に回路の出力音を聞いてみると、「パチパチ」というVLF電波のほかに、「ピーン」というような高音ノイズや、「ブーン」というような低音ノイズが混入していることがあります。そのような時は、周波数特性を変更しなければなりません。

周波数変更

 まず、赤いコンデンサ青いコンデンサを変更します。高音域に影響をあたえるのは赤いコンデンサで、低音域も後に接続される回路の入力インピーダンスが低い青いコンデンサを変えると、大きく変わるからです。
 赤いコンデンサを取り外すことは異常発振の原因となりますので、必ず500PF以上のコンデンサを取り付けてください。

赤いコンデンサ増やす高域カットオフ周波数が下がり、高音域が出なくなる
減らす高域カットオフ周波数が上がり、高音域がフラットに近づく
青いコンデンサ増やす低域カットオフ周波数が下がり、低音域がフラットに近づく
減らす低域カットオフ周波数が上がり、低音域が出なくなる

 低音域に関して、青いコンデンサの調整だけでは十分でないときは、緑のコンデンサも調整します。

緑のコンデンサ増やす低域カットオフ周波数が下がり、低音域がフラットに近づく
減らす低域カットオフ周波数が上がり、低音域が出なくなる


・・・・・室内ボックス回路・・・・・

室内アンプオリジナル回路図
室内アンプオリジナル電源回路図

(1)ACアダプタを使用する

 オリジナル回路の トランス+整流回路 の部分を、9V~12V程度のACアダプタに置き換えるだけです。

※9VのACアダプタを使用する場合は、3端子レギュレーターも不要になりますが、安物のACアダプタを使用した場合、リップルノイズが混入する可能性があります。

電流は300mA以上あれば余裕でしょう。200mAクラスでも動作します。
 ノイズ低減のため、スイッチング型は避けたほうが良いです。(十分な電源フィルタなしに下手に安物を使うと、「ピー」というスイッチングノイズが混入します)
 屋上アンプ回路に、直接5VのACアダプタを使用することは避けたほうが良いです。屋外でACアダプタは使えなのでどうしても室内から電源を送るしかなく、5Vを送った場合は屋上で再安定化できないので、ノイズが混入する原因になります。

 
(2)モニター回路は不要

 オリジナルの回路図から「モニター切換スイッチ・音量ボリウム・LM386・スピーカー」を削除してください。


・・・・・その他・・・・・


(1)一体型にする

 アンテナも室内に設置する場合は、セパレート構造にする必要はありません。その際は、屋上アンプの回路も、室内に設置したボックスの中に電源回路などとまとめて設置します。
 変更点は、オリジナルの回路図から「出力バッファ回路」を削除てください。屋上アンプ回路の出力段はエミッタホロワにしてあるので、室内で一体型で使用する場合は出力段が出力バッファの機能を果たします。そして、「屋上アンプ回路・電源回路」を、必要ならば「モニター回路」も製作してください。ただし、以下の点にご注意ください。

  1. 電源回路を内蔵する場合は、出力側に配置する。場合によってはシールドタイプのトランスの使用またはシールド板を使用して、トランスからハム音が混入しないようにする。
  2. モニター回路を内蔵する場合も、出力側に配置する。スピーカーも勿論出力側に配置する。
  3. モニター回路の電源は、整流回路から直接取り(VLFアンプ用定電圧電源の入力側)、5Vの定電圧電源の出力はVLFアンプのみに使用する。
  4. 高ゲインなアンプなので、入力端子と出力端子はなるべく離して配置し、基板と端子間の配線もなるべく短くする。
  5. 回路をシールドするため、電子工作用アルミケースなどの金属ケースに収める。その際、ケースをグランドラインに接続しておくとよい。
  6. 本体とアンテナの配線はできるだけ短くし、シールドも施す。


(2)自動電源管理機能を追加する

すみません。まだ実験中です。


(3)ソーラー発電を利用する

 毎晩電源を入れるので、電気代やCO2排出が気になります。
 回路を使用する建物が、系統連携型太陽光発電システムを導入していれば一番楽なんですが、そうでない場合は独立型太陽光発電システムを構築せねばなりません。  
独自に太陽電池を設置する場合は、回路は夜間に使用するため、昼間にバッテリーへ電力を蓄えておかなくてはなりません。数日曇っても電源が切れないよう、バッテリーは数Ahタイプを使用し、数日曇った後でも一日晴れれば 満充電 になるように、出力がそこそこ取り出せる太陽電池を選びます。
 方法としては、以下の方法が考えられます。

  1. 系統連携型太陽光発電付の建物で回路を利用する。
  2. ベランダなどにパネルを設置し、「トランス+整流回路」の部分を「太陽電池+充電回路+12V蓄電池」に置き換える。
  3. 屋上ボックスの横に、「太陽電池+充電回路+ニッケル水素電池4本」の、4.8Vのシステムを構築して屋上ボックスに給電。室内ボックスはベランダなどにパネルを設置し、ニッケル水素8本(9.6V)~10本(12V)または鉛蓄電池のシステムを構築して、室内ボックスに給電。


 ご閲覧ありがとうございました。
 ここに掲載した例は一例です。他にもアレンジはできるので、あなたの観測条件にぴったりのVLFアンプを製作して、VLF電波観測をお楽しみください。