自転車ライト用ダイナモで自転車発電

DC12V! 倍電圧整流回路と鉛蓄電池との組み合わせ 作り方

本HPは走行しながら電気を使うタイプの小出力自転車発電です。固定して使うエアロバイクタイプのイベント・筋トレ用大出力オルタネータ転用自転車発電をお探しの方はこちらです。

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10/29 ダイナモ増設時にブリッジ整流を使用した場合の問題に関して、回路シミュレータによる説明を追加しました

このサイトを参考に自転車発電を行ない、交通事故やバッテリ破裂等の事故が起こりましても、私は一切責任を取れません。製作は必ず自己責任でお願いいたします。

ダイナモの電気を使って面白いことしませんか?
このたび、自転車ライト用ダイナモ、mbedマイコン(LPC1114)、車の交差コイルメーターを組み合わせて、自転車用アナログ表示スピードメーターの実験に成功いたしました。
こちらもぜひご覧ください! ※ブリッジ整流です

1、はじめに

 最近の自転車のライト用ダイナモは高性能で、前輪ハブ部分に内蔵されており低速時でも発電が可能で、負荷を接続してもあまり重く感じません。さらに、ライトは自動点灯タイプでありハブダイナモは昼間でも回るので、分岐してライト以外の目的に有効活用してしまおうという感じです。
 通常のダイナモからの取り出し
 また、昔ながらのブロックダイナモ(倒すタイプ)でも、ライトの配線と取り出しラインとを繋ぎかえれば、昼間はフルに電流を取り出せるのでこのページの回路を使用できます。常設する場合はスイッチでライトと取り出しを切り替えるorライトを昼間消せるようにし、遠距離の時だけ欲しい場合は、写真のようにダイナモの端子やクリップコードを使用して使用時のみ繋ぐのがよいと思います。
私は、後輪へ増設した6Wのダイナモで間に合っているので、「携帯とデジカメ両方充電切れていて音楽も聴きたい」等の特殊な場合だけ前輪ダイナモも使用しています。

2、構成

 自転車のライト用発電機は通常 6V 2.4W 交流出力です。古いものには 6W のタイプもあります。2.4Wあれば結構遊べますし、6Wですと軽トラ用のモノラルカーラジオくらいまで余裕で動きます。
 回路は、まず発電機でエネルギーを生み出し、全波倍電圧整流回路で直流 12V に変換します。このエネルギーを直接使用することもできますが、停車中に電気が止まってしまうといろいろ不便なので(携帯の充電が不安定になる、オーディオが止まる、ブレーキランプやウインカーなどの停車中に使うヒカリモノ系を付けられない等)小型バイク用の小型鉛蓄電池に充電しながら使用します。倍電圧整流回路のダイオードが、ダイナモへの逆流防止の役割も果たしてくれます。

バッテリーの動作原理は基本バイクや車のバッテリーや太陽光発電などと同じです。

電力余剰時
高速走行時
高速走行時や負荷が軽いもしくは無負荷時などの場合は、発電した電力を負荷へ供給し、余剰電力分でバッテリーを充電します。


電力不足時
低速速走行時
低速走行時や停車時もしくは負荷が重いなどの場合は、不足分をバッテリーから供給するため、電源がストップせずに使用できます。


 現在、負荷は自動車用の携帯電話の充電器と、チャリオーディオ(自作のアンプ内臓スピーカー)をつないでいます。今後、ヒカリモノを付けたり、ダイナモを増設したりして強化していきたいです。
 電気は、片方はライトとダイナモをつなぐコードを分岐し、もう片方はライトを固定しているネジの所から取り出すと交流出力が取り出せます。

電源取り出し

接続図

基本回路図


 後で簡単に本体を取り外せるようにするため、接続部はコネクタや端子等を使用すると便利です。つなぎっぱなしの場合は、半田付けでもOKです。

※鉛蓄電池は出力インピーダンスが低くパワーがあるので、満充電時に出力ショートが起こった場合、細い接続コードは発火します(実体験)。 バッテリーを使用するときは、必ずヒューズは取り付けましょう。

 ・倍電圧整流回路のダイオードは逆流防止もかねるので、逆方向耐電圧50V以上の物を使用します。耐電流は、ダイナモが2.4Wならば1A用で十分です。周波数も低いので、一般電源整流用ダイオードで十分です。1N4001辺りが入手性がよいと思います。
 ・コンデンサーは小さくすると倍電圧整流がうまくいきません。しっかり充電するためには最低でも1000μFは必要です。
 また、ダイナモはライトを点けた状態での実効値での電力が規定されているため、無負荷で回すと高電圧が出ます。実験では、2.4Wダイナモで約25V、6Wダイナモで45V(いずれも全波整流による最大値)でした。昼間に、整流回路を切り離さずにバッテリーや負荷を切り離してダイナモを回す可能性がある場合は、電解コンデンサーは耐圧35V以上(ダイナモが6Wの時は50V以上)にしないとコンデンサー破裂の危険があります。(バッテリーと付加を両方とも切り離すことは想定していないので、回路図は耐圧16Vになっています。)


実験:6Wのダイナモをブリッジ整流で無負荷で思いっきり回すと、最大値で約45V発生しました。倍電圧整流だと90Vということになり、開放は大変危険です。

制御回路を製作される場合は切断モード時の破壊対策が必要です。実際ダイナモを使用する際は電球などの大きな負荷があるので、ダイナモの内部抵抗によりきちんと6Vが出力されるわけです。ただ、ダイナモで小さな負荷を動かすとき、たとえば直接LEDを点けるときは、ライトに使うような数百mAの大電流タイプのハイパワーLEDを除き抵抗一本では高速時に焼ききれてしまいます。
 ・過充電防止回路がないですが、ダイナモがローパワーなので問題なく使えています。
 ・過放電防止回路は、独立型太陽光発電と違って長時間バッテリーからのみ給電することがないので省略しました。
 ・鉛蓄電池は、廃バッテリーを使用します。近所のバイクの整備工場で廃棄品をタダで譲ってもらいました。完全にダメになったバッテリーはダメですが、エンジンのかかりが悪い程度に弱ったバッテリーならば、まだまだオーディオ程度なら動かせます。バイクでの使用では寿命でも、まだまだ少電流なら使えるということです。新品だと過放電とか気を使わないといけないですが、タダならダメになったらまた貰えばよいので、回路はシンプルでOKです。

 ※鉛蓄電池は、必ず密閉型(制御弁式。上の写真のようなタイプ)を使用します。自転車での使用となるため振動がかかり、自転車が倒れた時は当然ですが電池も倒れます。そのため 液タイプ(開放式。4輪車用のように液体がそのまま入っているタイプ)を使用すると、液漏れにより怪我の原因となります。

3、なぜ12Vなのか

 ダイナモの出力をそのままブリッジ整流して、4.8Vや6.0VのNi-MHバッテリーに溜めることはできます。実際、鉛蓄電池が手に入るまではそうしていました。しかし、12Vのほうがいろいろと都合が良いのです。いくつかあげてみます。
 1:電源電圧が6Vのオーディオアンプでは、大通りではまったくチャリオーディオが聴こえません。
 2:自動車用の電気製品が使用可能です。例えば携帯電話の充電器の場合、6V用は自作するもしくはコンビニで売られている使いきりタイプの充電器を改造する必要がありますが、12V用でしたら市販の自動車用携帯充電器を買ってきてポンと付け可能です。
 3:バッテリーを無料で入手できたことです。私の地元には2輪車を扱う店があり、自転車もそこで購入し、パンク修理部品やら何やらでいろいろとお世話になっているので、整備工場の方に廃バッテリーをタダで譲ってもらえました。
 4:LED(発光ダイオード)の順方向電圧降下との関係です。たとえば、白色LEDを点けたいとき、順方向電圧降下が3.6Vなので、6Vでは一つごとに電流制限抵抗が必要になります(一本の電流制限抵抗に対して複数個のLEDの並列という方法もあるが、LED間のバラツキでうまくいかないことが多い)。しかし、12Vならば、3.6(V)×3=10.8(V)より、保護抵抗は3個に1個で済み経済的です。  
増設例  5:ダイナモの増設が可能なことです。増設回路例を示します。倍電圧整流回路は回路図をご覧の通り入力の片方が車体です。そのため、ダイオード2本とダイナモ1個を1セットとし、車体アース共通により増設可能です。「ハブダイナモ+昔ながらの倒すやつ」の組み合わせが、電力不足時だけ倒せばよいので、便利だと思います。
 ところが、ブリッジ整流だと、2つのダイナモが逆位相のときに過電圧がかかってしまい、増設ダイナモを車体から絶縁しない限り(大変面倒)増設不可能です。
 ただし、増設時は発電量が増えるので、場合によっては充電制御回路を設けないとバッテリーを傷めます。


写真は後輪にダイナモを増設した様子です。実家で古い自転車を処分した時にもらった6Wのダイナモを使用しました。昔の自転車は電球の効率が悪かったり、ライトが双発だったりでダイナモの出力が高い場合があるので、粗大ゴミは要チェックですね(笑)。ママチャリ型のスタンドならば、後輪が浮くので、停車中の発電=簡易自転車発電機(実際の自転車発電はオルタネーターを使用して100Wくらい発電する)としての利用も可能です。簡易自転車発電は携帯電話の充電やラジオの起動、停電時のLEDライトの点灯など6Wでも結構実用になります。

補足:ブリッジ整流が複数ダイナモに使用できない理由

先ほど「絶縁しない限りダイナモ増設は倍電圧整流でないと不可能」と述べましたが、メールでご質問いただきましたので、この機会に具体的にブリッジ整流だとどうなってしまうのかをシミュレーションにより説明しようと思います。

シミュレーション条件は6Vrmsを発電しているハブダイナモとブロックダイナモを同時運転した場合を想定し、片方を100Hz、もう片方を500Hzとします。
シミュレーションソフトはSIMetrix intro版を用いました。
ダイオードは一般的な汎用整流ダイオードであるIN4001とし、負荷抵抗は1kΩとしました。解析を容易にするため、平滑コンデンサはなしとします。

1、増設ダイナモのグランドが車体から絶縁された場合

まず増設したダイナモのグラウンド側が車体アースから独立した場合を考えます。
回路図1
回路図1

シミュレーション結果1
シミュレーション結果1

シミュレーション結果1に示す通り、ダイナモ2台の全波整流波形が合成された出力となっていることがわかります。
よってダイナモのグランド側が絶縁がされている場合は目的を果たせると言えます。

2、増設ダイナモのグランドが共通の場合

次に車体アースがある場合を考えます。車体によりダイナモのグランド側が共通となる為、D3とD4、D5とD6がそれぞれ並列になり回路図2のように描き換えられます。

回路図2
回路図2

シミュレーション結果2
シミュレーション結果2

シミュレーション結果2に示すように、周期的にダイナモ2台分の電圧が出力されます。
これでは負荷の電気製品を破壊する危険性があり、回路は目的を果たしているとは言えません。

3、グランド共通時の動作

車体アースがある場合の動作を調べるため、2台のダイナモの周波数を同じにした状態で位相を変化させてみます。
回路図2において、ダイナモ2台がともに100Hzを発電しているとし、位相が0度、90度、180度異なる場合をシミュレーションしました。

シミュレーション結果0度
位相が同じ場合

シミュレーション結果90度
位相が90度異なる場合

シミュレーション結果180度
位相が180度異なる場合

以上により、位相が一致する場合しか回路は目的の動作をしないとわかります。

回路図2
まず同相(0度)の場合は、ダイナモ1は D1~負荷R1~D5・D6 もしくは D3・D4~負荷~D2 のルートで、ダイナモ2は D3・D4~負荷~D8 もしくは D7~負荷~D5・D6 のルートで流れ並列になり、負荷には目的の電圧が印加されます。

一方、逆相(180度)の場合は、 D1~負荷~D8 もしくは D7~負荷~D2 のルートで負荷にダイナモ2個分の電圧が印加されます。D3・D4とD5・D6は逆バイアスとなりOFFするため、負荷にはダイナモ2直列分の電圧が印加されます。

位相が90度異なる場合は、中間の動作になります。

4、バッテリーの固定

 バッテリーはかごの中に入れていましたが、鞄が傷になるうえ邪魔なので、車体本体に固定しました。原チャリ用の薄型バッテリーなので、フレームの間に挟むような形で固定できました。粘着テープを使用しましたが、悪路走行しても落下することなく使えています。
 また、バッテリーとフレームが接触する部分は、そのままだとバッテリーのケースが削れていつかは希硫酸が出てきて事故につながるので、そうならないためにバッテリーに粘着テープを数枚重ねて貼り、クッションとしています。粘着テープは前側、横側、しっかり固定しています。

バッテリー固定(横) バッテリー固定(前) バッテリー固定(緩衝)

4、チャリ・オーディオ・システム

 自転車に乗っていると、どうしても音楽やラジオを聴きたくなります。しかし、ヘッドホンを装着すると緊急車両のサイレンが聞こえにくくなるなどの安全上の問題が出るとして、両耳を塞いでの運転が法改正で禁止されました。しかし、スピーカーで聴こうと思っても、携帯電話の内臓スピーカーなんかではまったく聴こえません。そこで、自転車にアンプとスピーカーを取り付けることにしました。
 法改正後には電池式の自転車用スピーカーが市販されていますが、私のシステムは自家発電なので遠出対応となっています。

チャリオーディオシステムの製作

チャリオーディオと言っても、食品保存用のタッパーに、お風呂ラジオ等で使われる防滴仕様のスピーカーを取り付けて、アンプを一体型にしただけです。スピーカー中心部分はネットの穴を大きくして、高音域の減衰を防ぎました。部品は、防滴スピーカーは購入、電子回路部は廃アナログテレビの部品を再利用しました。
 ケースもスピーカーもスケルトンなので、電源ランプLEDは内部に組み込み、夜間かっこよくなるようにしました。

アンプ基板オーディオアンプです。廃アナログテレビの基板から切り取りました。シングルタイプのモノラルアンプで、電源電圧12V、8オーム負荷で、最大3W程度出力できます。電源電圧6Vの頃は大通りだと聞こえなくなっていたのに対し、12Vならば最大にするとうるさいくらい聴こえます。
バイクで聴くわけではないので、BTLタイプでなくても十分です。と言うより、BTLアンプでチャリからガーガー鳴らしたらさすがに迷惑です。

ボリューム元ボリューム音量用ボリュームにも、廃アナログテレビの部品をリユーズしました。

スピーカー使用した防滴スピーカーです。直径 57mm で、8オーム3Wです。防滴仕様のため、振動板がプラスチック製です。音質は結構良いです。

 入力へは、携帯電話またはポータブルオーディオのヘッドフォン端子を接続します。接続機器の音量をあらかじめ大きめにしておくと、スピーカー本体のつまみによる手元での音量調整範囲が広くなります。
 

【雨天NG】軽トラ用スピーカー内臓カーラジオを改造する方法

お手軽なチャリオーディオとして、軽トラのスピーカー内臓カーラジオを改造する方法もあります。

普通のカーステレオを低消費電力改良し自転車に搭載することでもチャリオーディオは実現できますが、下の写真のように「スピーカーが邪魔」、「本体の奥行きが邪魔」という問題が発生します。
通常のカーステレオの場合 一方、「軽トラ用」のカーラジオは、スピーカーが内蔵されていて、モノラルですのでアンプの消費電力も低い・・・と、もはやチャリオーディオのために開発されたのでは?と思ってしまうほどです(笑)。

軽トラカーラジオの場合 荷物を積んでもそれほど邪魔になりません。

ライン入力の取り付け等については別ページにまとめました。

雨天時も使いたい方はスピーカーセパレートカーラジオに同様な改造を施したうえ、ラジオ本体をタッパー等の防水ケースに収め、ハンドルに防滴スピーカーを固定すれば使用できると思います。


ご閲覧ありがとうございました 2015年10月28日 修正 追記 更新
お問合せ:mailあっと@mail.hmcircuit.jp


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